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first update |
談話室で談話らない |
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2005 06/21 | |
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私は喫茶店が好きだ。
cafeと言われるものも好きだ。
しかし、「cafe」という響きはあまり好きじゃないんだな。なんか気取ってる感じがするし、「おしゃれ文化」・・・、いや、「おしゃれでしょ?文化」の匂いがしてなんだか抵抗がある。如いて言えばフランスのように昔から普通に根付いた文化ならいざしらず、日本におけるカフェ文化なんてものは10年前にあっただか?失恋レストランはあっても失恋カフェなんて当時無かったはずだ(今も無い)。
どこか喫茶店のそれとは、あやふやな一線を引いているcafe文化がアピールする「居心地のよさ」はどうも私の肌には合わないみたいだ。別に嫌いじゃないぜ、でも「おしゃれでしょ?」「かわいいでしょ?」「ナポリタン?無いわよ。ランチプレートならあるけどね。」「cafeであって喫茶店であらず!」というのはどうもね。もう一回言うけど嫌いじゃないよ。「cafe」じゃなくて、「カフェ」ならいいかな。まあどうでもいい話なんだけどさ。
しかしどこで飲もうと、次の結論は変わらない。
I♥COFFEE
そう、私はコーヒーが好きだ。
こよなく愛してる。
「恋の虜」という言葉があるがまさに「コーヒーの虜」、コーヒーの奴隷と言ってもいい。ヘビーコーヒードリンカーだ。
小学生の頃からカフェインの中毒性の虜だ。下校をすると、ランドセルを降ろす前にコーヒー牛乳をラッパ飲みしていた(太った)。
三つ子の魂百まで、お前百二歳まで、さすがにコーヒー牛乳は飲まなくなったが、今でも普通のコーヒーなら昼夜問わず日に何杯も飲む。よくカフェインを取ると眠れなくなるとか言われているが、私は寝る前にコーヒーを飲んだ方が落ち着いて眠れる。多分。
そんなコーヒー好きの私が一度言ってみたい喫茶店(?)があった。
過去形だ。
そしてその店は喫茶店では無く、「談話室」と呼ばれていた。
「談話」のサンクチュアリこと「談話室滝沢」だ。
そこら辺の喫茶店とは太い一線を引いて、昭和レトロをもろに残した内装、確執と誇り高きサービスを提供し、他の喫茶店の追随を許さない(というか誰も追ってないかも)談話室滝沢。
メインは談話。
かといって、店舗に入ると若いお姉さんと一時間いくらで談話をさせてもらえるといったシステムのある店などではない。 もしくは、こちらが一方的に悩みをぶつけ「うん、うん、分かる。あなたの言ってることは正しいわ。」と、やけに大きなうなずきを繰り返してくれる偽善の理解者が待っている偽りの心の開放区となっている店でもない。
真剣10代しゃべり場とも全然違う。
客同士の語らい、商談、デートなどのために快適で会話の楽しめる空間を提供してくれて、おいしいコーヒーなんかも出しちゃうよという店と思えばいい。
「なんだ、そこらの喫茶店と同じじゃん。」と思われるだろうが、これが全然違うんだよ。どう違うかはおいおい話すとして、そんな滝沢がこの3月31日に40年の歴史に幕を下ろしたのだ。
都内の全店舗が一斉閉店した。
別にアメリカの解体現場のようにマイト一発全店同時爆破というわけではないのであしからず。
ネットでの話を訊けば、営業的には問題は無かったようだが、問題は滝沢の売りでもある鉄壁のサービスの訓練を受けた特殊工作員のようなウエイトレスさんたちにあった。社員制、寮制をとって滝沢で働くウエイトレスであるべく教育をされた女性たち。喜び組では無い。近年は時代の流れからかアルバイトの方々も増えてしまい、ウエイトレスさんのサービスの質を保つのが難しくなってきたためとのこと。
あとは時代の流れと共に客の質の低迷化も要因だという。求める質はウエイトレスのみに留まらず、客にまでも!
滝沢が滝沢であるべくそのアイデンティティを失いかけてきたから、落ちてしまう前に己から幕を引くというのもとてもカッコいいじゃないの。らしいと言えば、らしいよね。
では閉まってしまう前に、地方者として滝沢未経験から経験済みえと割礼を受けるべく足を運んだレポートをここに記します。もう滝沢済みと言ってもいいように。
話は3月の始めのことになる。前々からシンプルでモントーンな店構えの滝沢の前を通るたびに、高徳な雰囲気がしていて自分とは縁のない店だと思っていた。何よりも「談話室」の意味がよく分かっていなかった。「だんわしつ?だんわしつ?だんわしつ?だんすしつ?ダンス室?」・・・いやいや。なんとなく、大事な語らいをする場をお金を払って借りるようなイメージをしていた(それだけを述べるとテレクラと何も変わらないような気がするが・・・)。
とにかく気にはなってたけど、入る機会は無いだろうなあと感じていた。打ち合わせならネットで出来るし、お見合いなんかする必要もないし、「絵画とか興味ある?」ってな感じの悪徳商売にも引かかりそうにもない。
この春で全店閉まってしまうというし、じゃあ手が届かなくなって行こうにも行けなくなる前に行ってしまおう。用も無いけど、その滝沢が滝沢であるサービスを受けてみようじゃないかと足を運んだ。
***「地下にあるの」***
では池袋っ子の私は、池袋店の談話室へと向かった。
池袋の滝沢は地下にある。シンプルだが蚊や小蝿ぐらいなら文字だけで殺せそうな渋いフォントで「談話室 滝沢」と書かれた看板。別の看板にはこれまた渋いフォントで「TAKIZAWA」と書かれており、一瞬「YAZAWA」と見間違うほどだ。両方の文字とも殺傷能力がある。殺虫剤要らずの看板は来る人を選びそうだが、これも時代の流れとともにその効力は薄くなってしまったのだろう。だって私風情が来てるものね。
事前に滝沢のことを調べていたので、少し・・・、いや・・・、かなり緊張気味だ。スタバに生まれて初めて入ったときの比ではない。と書いたところで思い出したんだが、正確に初めてスタバに入ったのはアメリカの方が先だった。しかもハワイ、現地の店員が無駄話に沸いており緊張では無く怒りさえ湧いた。暖かい国の話だからしょうがないか。だから日本のスタバに初めて行った日の緊張感の比じゃないということだ。
なにはともあれ初めて場というのはそれなりに緊張を伴なうものだが、ネットで見る限りの滝沢はとても敷居が高い喫茶店だ。飛び出せ、私の勇気!
池袋の滝沢は地下にあるのだが、まるでRPGでダンジョンに下りて行く主人公のような気分だ。禍々しいBGMが頭の中で鳴る。
一歩一歩階段を降りる中、実はこの階段が上進行のエスレーターでいつまで経っても地下に辿り着けなかったら、まあそれもそれでいいかななんて思った。
そんなことは当然ありえないわけで地下に降り立つと、無数のスライムが・・・というわけではなく、「ようこそお越し下さいました。」と滝沢の顔とも言えるウエイトレスさんが深々とおじぎをしてくれた。思わず「待たしてた?」と勘違いしそうになるくらいだ。 ああネットの数々の報告にあったように、フライトアテンダントの如く後ろにまとめられた髪型、どこぞの古風な秘書といった佇まい。親父さんたち好みとも言えるし、昭和の小説に出てきそうなお姿。
おもわず息を呑むが、どんな場でもそうだけど、知らない場などに行ったときは飲まれないように先に声を掛けたりする。もしくは隠しても隠し切れない緊張のごまかしだ。「一人で本を読んだりするだけでもいいんですか?」と訊いてみる。私が声を掛けた感じの女性はその佇まいやネットで見ていた情報と違ってフランクな感じがした。「全然構いませんよ。」と愛くるしく微笑む顔を見れば結構若い感じもする。下手なファーストフード店の固まった笑顔などじゃなく自然の笑顔だ。私が変なことを先に訊いたのもあるのかな?ここのウエイトレスさんはみんな妙齢でどこか影があるような人ばかりだと思っていたため拍子抜けがした。昔と違って鉄壁な社員制をとっていた滝沢も今やアルバイトがほとんどと言うが、この娘もアルバイトなのかな。 あれ?思っていたよりこの緊張感は必要無い?無駄に力入っちゃってたりなんかりしてた?おいら。
ん?滝沢改めタッキーって呼んでいい?
禁煙か喫煙を問われ、禁煙の方に丁重に通される。何やら奥の辺りに喫茶店なのにどこぞの日本庭園みたいな一角があるがあちらは喫煙席ゾーンのようでこちらからはほど遠い。日本庭園からはマイナスイオンが出てそうだがタバコの煙と喧嘩しそうだ。あちらの方が絵的には楽しかったなと思いながらもタバコが吸えないのでいいかと席に着く。
***「談話らない」***
着いた席は抹茶色で統一されており、よもぎの匂いでもするんかいなと思ってしまうほどだ。座席の背もたれにはパーティションが設けられており、各テーブルが区切られブース状になることで落ち着いて談話に専念出来るようになっている。目の前には「角をぶつけるなら是非!」といったような木目模様の机。そして本来なら窓があるべき(地下なので)位置からは障子越しに柔らかい照明がそそがれている。
何やら自分の部屋に無いものばかりで空間が構成されている。落ち着いて談話出来る憩いの場とはこうゆうことになっているのか。 談話しないけどね。 根っからの日本人の私はこうゆう雰囲気は凄く落ち着く。周りを見渡せば明らかに年代層が高いなあ。明らかにビジネストークかましてる方々もいれば、ただ単に仲間内での雑談してる方々、全くどうゆう関係なのか分からない方々、一人でいる老人、サラリーマンもおられる。若造がぽつねんとは他にいないようだ。
これがね普通の喫茶店とかなら一人でぽつねんリラックスも普通なんだけど、そうはさせないここの格式の高さともう一つの高さがある。それは、おメニューの高さ。これをご覧あれ。
***「値段を考えるのがめんどかったわけではない」***
これだけ分かりやすい値段もないだろう。お値段据え置き四桁1000円均一。100円ショップならぬ1000円ショップっていうのも実際あるけどさ、コーヒー(温・冷)、紅茶(温・冷)、抹茶ミルク(温・冷)、カフェ・オ・レー(温・冷)、メロンソーダ、レモンスカッシュだろうが1000円ポッキリだよ!ダンナ!
紅茶ミルクも抹茶ミルクも普通のミルクも値段が一緒っていうのもおかしくないか?とか。
もう全部同じなら「コーヒースカッシュ」とか言ってもいいんじゃない?とか思わずに、これがサービス料&場の値段が入ったメニューのお値段。
ちなみにお昼の一時までなら、おかわり無料となっている。私が入ったのは夕方の四時過ぎだったので一杯のお値段。
昔、経済学の授業で習ったのだが、名立たるホテルでコーヒーを飲むと一杯1000円も取られちゃったりするのは、1000円出してもいい場だからだそうだ。 金粉が浮かんでいるわけでもなし、大して美味いわけでもなし、ピッチャーで出てきてその上「おかわり無料です!」ってわけでなくても許されるのは、そこは千円の値段で出しても許される場だから。
これが場末的な定食屋で、やなせたかし氏の原画に近い方のアンパンマンが描かれたプラスチックのコップに、ごぼうの出し汁みたいな見た目と匂いのするコーヒーが出てきて、タイガー戦車みたいな体型のオバちゃんが「千円な。サービス料は別やで。」・・・なら怒ってもいいとも!だけど、1000円には1000円を納得させる場があるのだ。当たり前のことなのだ!パパなのだ!
確かにタッキーの雰囲気にはそれだけのものがある。
しかしね、これで「ああそれ相当なのね。」と思われると早合点。
だってこれにね、100円足すとケーキが付くんだよ。
小銭一枚足して1100円でケーキセットに早代わり。
先ほども描いたように飲み物1000円だとするとケーキさんはどう考えても実質100円になる。どんだけ出来の悪いお子さんでもこの計算は出来るはず。
100円と言ったって、スーパーでよくケーキの行進の如く並べられているバターケーキの類のものじゃないんだよ。ここで手作りしているものなのにこんな摩訶不思議なお値段設定。言い替えれば手作りだからこそ。
さらにもう200円出そ、もう200円ぐらい出そ。そうするとね、こんどは・・・、
ケーキ&ヨーグルト(ブルーベリーorストロベリー)とお飲み物のセットに早変わり。もしくは、ケーキ&バニラアイスクリームとお飲み物のセットとなる。
そうかそうか、さっきまでエキセントリックな飲み物代1000円均一設定で驚かせといて、さらに驚きを畳掛けてくれるのか。安いのか高いのか分からない。さっきの場の値段の話もなし崩しだ。子供のおやつ並の値段じゃないか。しみじみタッキーって異空間だなあ。
***「写真撮る前にちょっと食べちゃった」***
はい、これがケーキ&バニラアイスクリームとお飲み物のセットです。飲み物は紅茶ミルクです。ロイヤルミルクティーと言った方が場的には合うか?なんならコペンハーゲンも入れようか?いやこの和空間を考えると皇室的牛乳紅茶と呼んだ方が妥当かな。冒頭にあれだけコーヒー好きと言っていたくせに紅茶かよと思う方もいるかもしれないけど、話的にいつもストレート球ばっかり出しててもつまらないでしょ。でもチョコも好きなのでケーキはチョコレートのものを。
味?美味いよ。ここで味のうんちく垂れても面白くないと思うので、簡単にいうと普通以上に美味いよ。ええ仕事してまっせ。駄目な喫茶店のアイスティーにあるように水の味だか、ガムシロの味だか、人工的な香りばかり立ってたりするものじゃなくて、濃厚なミルクの味にも隠されてしまわずにちゃんと紅茶の味がするし、ケーキもアイスも甘すぎず、言い替えれば上品な味。 普通ならアイス、ケーキ、ジュース(紅茶)はガキのおやつ三大神器とばかりに軽言されそうだが、ここならばデザートのゴールデントライアングルと呼ばれかねない。
おいちゃんはこれに+200円で焼きそばとか付くと嬉しいかな。もう何屋だか・・・。
どこに着陸しても嬉しいものといった地点にフォークを転々とさせつつ、改めて周りを見渡す。最近のヒットナンバーもしくはクラッシックが流れているわけでもなく、店内のBGMは一切無し。お客さんたちの交わす談話のその音のみが店内に響いている。たくさんの談話の声、声、声、一つ一つはとてもじゃないけど拾えない。なにか風の強い夜に木々同士などが揺れて立てている葉音のざわめきのようだ。ざわ〜、ざわ〜、だんわ〜、だんわ〜。
しかし私の席は無音空間。私は談話する相手などいない。携帯電話を見れば、これくらいの地下ぶりで圏外。舐めるなよ、●ー●フォン。
ならばさっき購入したものでも眺めるか。
***「ライディーン入り」***
中古レコード屋で100円だったので、なんとなく買ってもいいかなと購入したYMOの中古レコード。全曲CDで分かっているので今更だけど、まあいいか。100円っていうのも凄いけど、本当に聴ける代物なのかな。実は中は鍋敷きだったりしたら笑うぞ。にしてもジャケットがインパクト大だよね。
続きまして・・・、
***「真帆・二十五歳の堕淫」***
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