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タイトル |
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first update |
マイナス20℃の氷の世界 |
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2005 08/02 | |
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暑い。
日々これ暑い。
まいる・だるい・ゆるむの三拍子だ。なんなら多少酸っぱい。
おのおの一軒一軒、軒先に発火装置でも付けられてしまったんじゃないかと思うほど外は暑い。
かと言って暑い・暑い・暑いと言ったところで何も変わらない。痛んだ白飯も戻らない。
涼むには風鈴を鳴らすなんて悠長なことをしてられない。昔と違ってヒートアイランドな国だもの。
じゃあ寒いアイランドに行けばいいんでないの?
渡り鳥だって生活しやすいところへ飛んでいくじゃない。
長距離を飛び続ける羽はないけど乗り物なら世の中たくさんある。
というわけで−20℃のところに行ってきた。
***「普通じゃない」***
北の台地の「流氷 凍れ館」だという館だ。
「凍れ館」と書いてあっても「こおれかん」じゃないからね、「しばれかん」だから。北海道弁で凍えるの意味合いの方言から来てる。「こおれ」でも意味は一緒だからご安心を。北海道弁についてはこちらを。
ええ、呼んで字の如く凍ってしまえる館です。暑いからわざわざ凍らせられに北の台地に足を運んでみた。凍えたければ、環境のこと無視してクーラーの温度を18度ぐらいまで低めに設定すればいいだけじゃないかと思う人もいるかもしれないが、ここの凍え館の凍えっぷりと言ったら氷点下−20℃。
なかなかお家のクーラーで−20℃は醸し出せれないよね。台所で冷凍庫を全快にしてみたところで、そんなものコンロでラーメン一つでも作ればあっという間に亜熱帯地方に早変わり。
なんなら冷凍庫内の冷凍食品が急速に傷む、傷む。
普通のご家庭ではどうしようもない空気を味わいたくて、いっちょ涼みに来た。
***「ラブホ?」***
しばれるね〜。
一見するとラブホのお部屋案内の電光板とダブってしまいそうな、入り口にあった館内の案内板。好きな部屋の番号を押すと人によっては重みのある鍵がガチャーンと自動販売機よろしく落ちてきたりなんかして。
ちょっと上の写真では見づらいと思うけど、右上の写真に載っているように−40℃の部屋も用意されてる。勘違いして(どんな?)裸になった日には凍傷間違いなし。
「俺の大事なものがー!!」と叫んだ後にはもう遅い。お宝はきっと使い物にならなくっていることだろう。
ちなみに氷のベットもちゃんとある。
では氷の館に足を踏み入れてみよう。
と入って受付のところにある表記を見て問題が発生。
デジカメを館内に持ち込み禁止だというのだ。別に館内の様子は極秘事項だから道外に流出禁止令のおふれが出ているというわけでは無くて、デジカメは結露で故障しやすいからどうなっても知らないよということ。
南国育ちの私としては初めて寒さに脅された。
そんなに寒いのか?受付横の入り口のドアを開けて氷の世界に入るとデジカメの命を一瞬のものにしてしまうほど寒いのか?
館内の写真は撮っておきたいけど、デジカメ壊れたら嫌だしね。当然と言えば当然だが受付では荷物を預かって
もらえるので、ここは無念だがカバン共々デジカメも預けることにした。ちなみに入り口は一階だが、出口は二階となっており受け渡しは二階でとのこと。
もちろん交通安全のお守りの次に現代のマストアイテムの携帯電話も同じ理由で持ち込み禁止。とにかくもまあ手ぶらで入っておくんなましと。
と預ける際、ある貼り紙を発見。なんとここぞとばかりに「使い捨てカメラ」が売られているではないか。しかも言っちゃあ悪いが高値のCDミニアルバム以上のお値段。どこに行ってしまったのか分からない二千円札が要るではないの。今時300円そこらで売っているものがここでは六倍以上の値がするなんて、さすが氷の世界。商魂も氷。 なんの足代も取材費ももらっておらず自費(慈悲)活動の私がこないなもん買えまっか?オフのコースで無理どす。 これからはアナログなカメラもいざって時のために持ち歩くことにしよう。バッテリー切れの心配ないしね。にしても使い捨てのカメラのフィルムだってそんな極寒地だと駄目だろう。 そんなに強いのか、ここで売られている使い捨てカメラは?使い捨てるにはもったいないな。
というわけで館内の様子は私のエキセントリックでファンタスティポなイラストで多少誇張して描かれるので覚悟しておいて下さい。何事も納得出来る事実が欲しければ現地に行って自分の目で確かめてみてね。
もちろんこのまま氷の世界に入り込むわけではない。館の外は夏真っ盛り、北の国と言えどもこちらは半袖の夏用の格好をしている。こんな格好で−20℃の世界に入ろうものなら自殺行為そのもの。行ったきり出てこなくなること確実。永久凍土よろしく自分自身が「凍れ館」の新たなオブジェクトになってしまう。
まあ安心ござれ、ここがクロークでない理由に防寒着を貸してもらえる。さすがに半袖で零下の世界突入は無謀というもの。顔以外完全に覆い隠すような防寒コートを羽織って、入り口付近の籠に入っている軍手もはめる。軍手をはめると無駄に「体力仕事をするぞ!」という意識のモーターが動き出すが、この心意気のままで勢いのある内に重く厚めのドアに手をかける。これで間違えて外に出たものなら大量発汗すること間違いなし。ドア一つでこうも違うか、ドアのあり方について考えさせられるな。
いざ尋常に極寒の世界に誘われよう。「この寒さ逃すまい!」の意気込みが篭ったドアはとても重かった。さっそく軍手が役に立った気がしたよ。
心のバックミュージックはもちろんYUMINGの「Blizzard/ブリザード」だ。繰り返されるブリザードのリフレイン、思えばあの曲が生まれて初めて聴いたある意味トランス曲。
ドアの向こうは正に吹雪、吹雪、氷の世界!吹き荒れるブリザード、自分の掌すら見えないほどの猛吹雪。体温は急激に下がり炎の消えかけたろうそくの如く意識が朦朧に!よだれが、よだれが凍る!もう眠いんだ、ごめんよ、パトラッシュ、せっかくここまで来たのにね、おやすみなさい・・・。
***「うがー!!」***
んなわけないじゃない。
確かに体感気温はグッと急激に下がってしまったのが唯一肌が露出している顔で分かる。ついで言うと何を思ったかその日はスニーカーソックスを履いて来ていたためくるぶしが寒い。
さっき数分前に外を歩いていたときの空気と全然違う、体にじんわりかいていた汗が一気に「失礼しましたー!」と云わんばかりに引いてしまった。おお、これが−20℃か、吐く息が白い。夏場なのに白い息吐いてる。吐く息も白ければ当然吸う息も冷たい。
眠気が起きるどころか目が見開き上げた。ごめん、パトラッシュ、こんなの眠れるわけないよ。
間接照明か青白い明るさに包まれ、壁や床までが氷で出来ており、天井にはここまでするかというほど氷柱(つらら)がぶら下がっていて、「一切氷のないところありません。」「氷についてはぬかりありません。」といった中々普段の生活ではお目にかかれないような状況の通路を歩く。天井の氷柱を見ながら、インディーンジョーンズなんかアドベンチャー物に出てくる降りてくる針の天井を思い出した。降りて来た場合には絶対逃げ出せませんというほど周りの氷の壁は重圧的だった。試しに軽くこづけば響く氷の厚み、そりゃタイタイニック号も氷山にぶつかれば沈みわな。ああいろんな意味でぬるくないな。
よく見れば両側の氷の壁の中には「ここは北国なのよ。」とラベンダーが氷漬けで咲いている。氷が溶けなければずっと綺麗に咲いたままでいられる花達、ここなら例え痛みの早い鯖など生モノでもなかなか腐らないだろう。氷漬けのお花畑といった感じだろうか?ミツバチが花粉も取れなきゃ、受粉も出来ないな。
生モノと言っておいてなんだが、そこら辺はぬかりが無いようで北国を代表するタラバ蟹や鮭やかれいまで氷の水族館と称されて氷の壁に埋まっていた。ああ壁に蟹が埋まっているよ。どんなリフォームの匠でも思いつくまい。
***「蟹がね、蟹がおるんよ!」***
氷の漬けのお花畑には、はまなすやスズランなども埋まっており、ある意味物産展のよう。北国の名産全て氷漬けにして壁に埋めてみましたといった感じだろうか?さすがに「白い●人」は埋まっていなかった。
そんな異空間ぶりたっぷりのスーパーメルヘンな氷の通路を歩いていると小部屋があった。
何かと覗けば「南極体験ゾーン」だと表記されている。ここだけは温度さらにさらにさらにさらに低めの−41℃設定となっている。もうご家庭の冷凍庫では絶対醸し出せれない冷気。
南極と言えばやはりペンギンだろう。太郎・次郎でもいいけど正式に生活しておられるのはペンギン様々。いいねペンギン、鳥って感じがあまりしないもっさい肉体が特に好きだ。鳥系に思えない肉質、マグロのようだ。目なんかまじまじ見るとやはり何考えてるんだか分からないような鳥目なんだけど、どことなく愛嬌がある。あの両手にたくさん荷物を持っている人みたいな歩き方も好きだ。
私の中ではやはり「けっきょく南極大冒険」が幼児期のトラウマと共に記憶に一番強く残ってる。三拍子の音楽をバックに短い足でジャンプするペンギン、たまに穴につまづいておっとっととなるところが好きだった。 「ペンギンくんウォーズ」といい小さな頃からなんだか身近な鳥類。なんならスズメより心の距離は身近だ。遠くて近い仲と言えばいいのか。
ところでここの小部屋だが南極体験ゾーンと言っても中にペンギンが「よっ!」といるわけではない。これまたご丁寧に作られた氷の椅子があるので、そこに座ってサウナのような状態で−41℃を体感する。冷気たっぷり逆サウナだ。いい汗引く。
***「手の構造上、タバコを吸うときは両手で」***
人間はどんな環境にいてもある程度対応出来るもので、しばらく座っていると−40℃も−20℃も区別つかなくなってきた。これが0℃と20℃ならまだ明確な区別が付くのだろうが、共通項は「顔が寒い」もっと言えば「くるぶしも寒い」。防寒着というだけあって体はがっちり防寒されているようだ。
ほどよく眼球も冷え切ったのでその部屋をあとにした。永遠と氷漬けの物産展を眺めて行くのかと思えば一気に視界が開けた。「今まで通路だけでごめんなさい。」の気持ちが飛び跳ねたように一階・二階分吹き抜けた空間に出たのだ。ああ、だから二階建てだったのね。
そして「きゃ〜!!」とあまりピンチの意味合いが含まれてそうにない悲鳴が滑り降りてきた。そう二階分の吹き抜けを利用して18メートルにも及ぶ氷のすべり台があるのだ。
通路の出口こと吹き抜けの入り口辺りがすべり台の先っぽになっていて、ちょうど修学旅行かなんかの女子高生たちが滑り降りて来ていたところだった。防寒着から出ている生足が若さのたくましさを表していた。
ただでさえはしゃぎがちになりそうな環境下にいるのに、そこにわりかし長めのすべり台があったりなんかしちゃった日には「はしゃぎギア」こと「はしゃギア」はオバー・ザ・トップに入るよね。しかも氷で出来てるんだもんね。
わーい、私もはしゃごう。
「はしゃギア」をクイクイっとな。
すべり台の滑り口はどうやら二階にあるようなので、これまた階段まで通じる氷の通路を進む。途中また新たな部屋を見付ける。えっ何?順番から言って今度は−80℃?・・・ではなく今度は「氷のベッド」がある部屋。
人はベッドがあると本能からか染み付いた生活習慣からか横になってみたくなるもの。例えそれが100%氷のみで作られていたとしても・・・。
***「枕まで作られてる」***
やはり私もその誘惑に勝てずに、ふらふらと氷のベットの上に乗る。思いっきり当然なんだけど硬い。思いっきりハードベッドだ。ホテルなんかのベッドのように調子に乗って飛び乗った日には低い声を挙げてしまうこと間違いなし。打ち所が悪ければ捻挫ってしまいそうなほど硬い。ここまでの壁といい本当に氷ってば硬いというのを再認識したよ。
弾まないベッドの上というのは動きづらい。漫画みたいに氷の上をツーって滑って行けるのかと思いきや、んなことは全然ない。あくせくしながら枕の部分に頭を置いて天井を見上げる。目に入る景色は氷、背中も頭の下も氷。このまま寝たら死ぬんじゃないかしら?
頭の部分は防寒されておらずネキッドなので、いい程度に後頭部が冷えてきて毛穴がキューって締まる締まる。とてもじゃないけど寝ていられなくなったので適度に体温奪われたところで退散した。全体アイスノンって感じだった。
「当社のベットは独自の体温吸収システムが組み込まれており、朝方起きれないこと請け合いです。快適な(永久的な)安眠をお約束致します。」
熱帯夜だけちょっと欲しいな。
さあすべり台まで行くべと足を運べど、また新たな議論・反論・オブジェクトがあった。
えっ何これ?表示を見れば「マンモスの化石」とあった。さすがにこれは北国の名産ではないけど、雪らしいもので形作られたオブジェクトのマンモスの体の一部一部から露呈したようにマンモスの骨の化石が出てる。言い方は悪いけど、ほどよく腐敗した肉片(元・アニマル)から骨が出てきているような感じ。
あれ?今愛知万博で「マンモス、マンモス、マンモスうれ・・・」とか言ってるのに、こんな目の前に骨の化石があっていいの?ペチペチしちゃうよ。あっちは大行列で待ちあげて見れるようなものを、ここったら牙までペチペチ出来るんですけど・・・。まあいいや、寒いから頭が回らない。象使いでも無いのでたいして興奮しない。
それよりすべり台!
氷の階段を上りきって出たところは・・・、
あれ・・・?
あれ・・・?
あれ・・・?
これってば・・・?
***「タイタニック!(格好は仮想です)」***
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